小型衛星フォーメンションフライトの動解析

"Orbital and Attitude Analysis of Tethered Solar Sail Spacecraft Formation Flying"

研究背景

 Solar Sailは推進剤を必要としない実用的な膜構造宇宙システムであるが,その構造解析と設計にはモデリング自体の不確実性や地上での物理的検証,衛星への搭載の困難性が伴う.IKAROS計画では膜の剛性が想定よりも高いなどモデリングとのずれも報告されており,膜変形による推力変化や姿勢制御系への影響から,膜構造の大型化はSolar Sailシステムの利点を損なう可能性がある. 一方で,大型膜構造物を持つSolar Sailの利用によって,従来の宇宙システムでは実現不可能な非ケプラー軌道(McInnes ,1999),(Aliasi et al., 2013)や放射性同位体熱電発電機(RTG)を利用しない外惑星領域探査などが実現される.現在までに様々な大型ソーラーセイル計画(The Kon-Tiki Mission(>1200m2)(Johnson et al., 2019),OKEANOS(2500m2)(Okada et al.,2018))が提案されている.しかし,その開発は構造解析と設計の点で非常に困難である. 膜の大型化ではなく,小型のソーラーセイル群によって疑似的に全体の膜面積を増やす衛星システムは,構造解析と設計の点で優れている.実際に小型のSolar Sail群を使った様々なミッションが提案されている(Gong et al., 2011) (Mu et al., 2013). しかし,長時間運用を想定したSolar Sailシステムにとって独立した複数の衛星の利用は信頼性の観点から適していない.また,Solar Sailは姿勢によって推進力が決まるので,姿勢に大きな制約があり,Solar Sail群の衛星間の相対距離や相対姿勢の推定は困難である. このため,よりシンプルにSolar Sail群全体のシステムを制御できるモデルが求められている.

SDDLでの研究成果

 二つのSolar SailをつなげたDual Sailモデルを用いて姿勢・軌道運動を評価し,テザーで繋がれた小型Solar Sail群モデルの実現性を検討した.また,Single Solar SailとDual Solar Sailの軌道運動の違いを考察することで先行研究での従来モデルとの違いを調べた.
 
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発表論文

[1] Y. Takahashi, H. Sakamoto and M. Okuma, “Orbital and Attitude Analysis of Tethered Solar Sail Spacecraft Formation Flying”, Multidisciplinary International Student Workshop Japan, A3-2, Tokyo, Japan, August,2019.
[2] Y. Takahashi, H. Sakamoto and M. Okuma, “Orbital and Attitude Analysis of Tethered Solar Sail Spacecraft Formation Flying”, Asia-Oceania Top University League on Engineering, Tokyo, Japan, November,2019.